前回に引き続き、マルチタスクについてのお話です。
今回は「マルチタスクがもたらす脳への悪影響」のお話です。
脳が心地良いゾーン状態とは
人間は、1つのことに没頭しているときに、ゾーン状態に入ることができます。
例えば、ゲームをしたり、人とお話をしたりしているときに「もうこんな時間!?」という経験をしたことがあると思います。
つまり、時間の流れが一瞬に過ぎ去ったような感覚。
このような状態をゾーン状態と言います。
つまり、強いエネルギーと鋭い集中力が掛け合わさってできることです。
そういったときには、脳が、充実感・生産性・確実性、どれも高くなり、すごく心地良く多幸感があるという状態です。
それによって、高い能力が発揮できます。
マルチタスクは見かけだけ!?
多くの論文で、2つの作業を同時にすることは脳科学的に不可能だと言われています。
マルチタスクは、一見、同時処理をしているように見えますが、脳の中では高速で2つの回路を切り替えているだけなんです。
例えば、スマホをいじりながら友達の話を聞くことは、一見、同時に進めているように見えますが「まずスマホをいじる」「次に友達の話を聞く」という2つの作業を切り替えながらやっているだけで、見かけ上、同時進行をしているように見せかけているに過ぎないんです。
例えば、勉強中にLINEがきたらメッセージを確認しますよね。
確認するのはほんの数秒かもしれませんが、LINEのメッセージの内容が頭に残っていて、勉強に集中できなくなってしまうんです。
脳には切り替え時間が必要
脳には切り替え時間が必要です。
さっきまでやっていた作業が残っている状態を「注意残余」と呼びます。
A、B、Cというタスクがあり、1つが1時間で終わるものとします。
シングルタスクでやった場合と、マルチタスクで20分ごとに切り替えてやった場合では、図のような結果になります。
作業を切り替えるときに多少の時間がかかるため、効率が悪くなったり、ミスも増えたりしてしまうことが分かっています。
脳はマルチタスクだとどれを優先していいか分からず、混乱してしまいます。
脳にとっては、1つに集中するゾーン状態が最も心地良く成果を発揮できるのです。