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【情報Ⅰ#73】ラスタ形式とベクタ形式(ラスター画像・ベクター画像)の違いとは?|情報1の授業動画【高校・共通テスト対策】プログラミング

  • 前回は、色のデジタル表現についてお話ししました。 コンピュータが画像を扱う際に、色の濃さや明るさを何段階で表現することができるかを表す数を階調と言い、この数が大きいほど鮮彩に表現できますが、データ量は増大します。 色の3原色となる「シアン」「マゼンタ」「イエロー」を使って色を表現する手法を減法混色と言い、光の3原色「赤」「緑」「青」を使って色を表現する手法を加法混色と言うとお話ししましたね。 今回は、2つの画像形式、ラスタ形式とベクタ形式について詳しく解説していきますよ。

①ラスタ形式とは

  • ラスタ形式を説明するためには、まず解像度の復習が必要です。 同じ領域の中でどのくらいのマスが密集しているのか?このマスの密度のことを解像度と呼びましたよね。 そして、解像度を表す単位には、「dot per inch(1インチあたりのドット数)」という英語を略した「dpi」という単位が使われています。 例えば、この領域の幅が1インチ(約2.54cm)の場合、10マスのほうが10dpiで、20マスのほうが20dpiとなります。 コンピュータ上で画像を作った場合、実際には細かなマスに色を塗っているということなのです。 このように、各マス(画素)に対して、色を割り当てて表現する画像形式を「ラスタ形式」と言います。 そして、ラスタ形式の画像を描くことができるソフトウェアのことを、ペイントソフトウェアと言います。 代表的なペイントソフトウェアは、Windowsに標準でインストールされているペイントですね。 ペイントはパソコンで自由にお絵かきができるので、パソコンを使用している人なら、一度は使ったことのあるソフトではないでしょうか? マウスを使って、まるで紙の上に絵を書いているように操作できますが、実際には、キャンバスには無数の細かいマスが敷かれていて、そのマスに色を割り当てているだけなのです。 また、ラスタ形式で作られた画像のことを、ラスタグラフィックスと呼びます。

②ベクタ形式とは

  • ベクタ形式の特徴としては、拡大しても粗くならず、シャギーが目立ちません。 また、ベクタ形式で作られた画像のことを、ベクタグラフィックスと呼びます。 先程のラスタ形式は、一つ一つのマスに色を割り当てて表現していました。一方、ベクタ形式では、点の座標を数値化し、数式によって導き出された曲線を使ってなめらかに結んだ画像を表現する形式となります。 座標とか数式とか言われても、 「ちょっと何言っているか、分からない」 ってなりますよね? ということで、星の図を使って分かりやすく説明しましょう。 続きの解説は、動画をご覧ください。

③ラスタ形式とベクタ形式の用途

  • このラスタ形式とベクタ形式ですが、用途によってどちらで保存するかが分かれます。 ラスタ形式の画像は、拡大すると粗くなってしまうというデメリットがある一方で、前回の色のデジタル表現で説明したとおり、多彩で細かい色やグラデーションの表現をすることができます。 ですから、写真などの色鮮やかな画像を保存するのに適しています。 逆に、ベクタ形式は拡大や縮小などのサイズ変更が容易にできる一方で、鮮やかな色の表現が苦手というデメリットがあります。 そのため、色をあまり多様せず、拡大や縮小を頻繁に行うロゴやキャラクターデザインの作成によく使われます。 企業の宣伝で使うロゴやキャラクターって色を多様しているものが少ないと思いませんか?多くても5色くらいの色で作られている企業がほとんどです。
  • そう言われたらそんな気がする・・・
  • 一方で、このようなロゴやキャラクターは名刺のような小さなものから、看板のような大きなものまで使われるので、拡大縮小しやすいベクタ形式の方が向いているのです。 また、建築物の設計図を作成するCADにおいても、黒線しか使わないですし、修正する際に拡大縮小の作業を多用するため、ベクタ形式での保存が適しているでしょう。 このように、ラスタ形式とベクタ形式の特徴をしっかりとおさえていれば、どのような用途で使われるかも想像しやすいと思います。
  • ねぇ、ラスタ形式かベクタ形式かを簡単に見分ける方法ってあるの?
  • 画像の拡張子を見れば、ラスタ形式なのかベクタ形式なのかを判別することができます。 拡張子とは、パソコン上のファイル名についている『.(ドット)』以降の部分のことを指し、ファイルの形式を表しています。 よく目にするのが、.jpg、.png、.bmp、.gifといった拡張子です。これらは全てラスタ形式の画像となります。 一方で、.aiや.svgといった拡張子がついているファイルはベクタ形式の画像となります。 これらのファイル形式や拡張子については、長くなりますので、また別の機会にしっかりと説明しますね。

まとめ

  1. ラスタ形式とは、各マス(画素)に対して、色を割り当てて表現する画像形式のことで、それに使うソフトウェアを、ペイントソフトウェアと言う。
  2. ベクタ形式とは、点の座標を数値化し、数式によって導き出された曲線を使ってなめらかに結んだ画像を表現する形式のことで、それに使うソフトウェアを、ドローソフトウェアと言う。
  3. 写真など色鮮やかな画像を保存する際はラスタ形式を使い、シンプルな色構成で拡大縮小を頻繁に行う、ロゴやキャラクターデザインの画像を保存する場合にはベクタ形式を使う。