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【情報Ⅰ#52】Society5.0とは?IoT・ビッグデータ・AI|情報1の授業動画【高校・共通テスト対策】プログラミング

  • 前回は、Society5.0について解説しました。
    「Society5.0」とはビッグデータやAIが存在する仮想空間と、人間のいる現実空間でスムーズにデータをやりとりして、経済発展と社会問題を解決していこう!という人間中心の社会のことを言います。
    日本には、高齢化問題など様々な社会問題があり、Society5.0は、その問題解決策として日本政府が主導している取り組みとなります。
    本日は、Society5.0によって、皆さんの生活がどのように変わるのかをお話していきます。

①Society5.0を支える4つの技術

  • まず、Society5.0は、労働人口がどんどん下がる日本の未来に向けた解決策として、日本政府が重要視している施策です。
    社会の構造や仕組み、ルールを変えるには日本政府が主導しなければ変わりません。
    その日本政府が重要施策と捉え、2016年に第5期科学技術基本計画として閣議決定された新しい社会のあり方なのです。
  • うん。そう聞くだけでも大事な感じはする。
  • そして、Society5.0は「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」と内閣府で定義されています。
    本日は、事例を挙げながら、Society5.0を分かりやすく説明していきます。
    Society5.0では、これから起こりうる様々な社会問題を次の4つの技術で解決していきます。
    その4つの技術がIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットです。
  • うーん。よく聞くけど、あまりよく分かっていないんだよな。
  • 実は、これら4つの技術については、すでにルークススクールの過去の動画で、詳しく分かりやすくお伝えしています。

②私達の暮らしがどのように変わる?

  • まずは、自動運転についてです。ドライバーがいなくても、安全に目的地まで運んでくれる自動車のことですね。
    既に高速道路や狭いエリアのみハンドル操作をしてくれる自動車は日本でも発売されていますが、アメリカでは既に完全自動運転車が一般向けに販売されていたり、それを用いたタクシーサービスの提供が開始されています。
  • へぇそうなんだね。
  • 自動運転を実現するには、様々な道路、交差点、横断歩道などの形状や道幅などのデータを登録しておく必要があります。 世界中全ての道路情報をデータとして保存すると膨大なデータとなります。これがビッグデータですね。
    そういった道路データだけではまだ、自動運転は実現できません。運転中には様々な予期せぬことが起こります。
    例えば、ゴミ袋や紙など、そのまま無視して走行しても問題ないようなものが降ってくることもあれば、突然、子どもが飛び出してきたり、岩などの障害物が降ってきたときなど、避けるようなアクションを必要とする場合もあります。
    つまり、目の前に現れたものを瞬時に画像認識して判定し、適切な操作を行う人工知能の技術も求められます。
    また渋滞情報や、天候情報などの刻々と変わる情報をインターネットを使ってリアルタイムに自動車という物(Thing)に届けるIoTの技術も必要です。
    自動運転を実現するためには、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術が必要となるということですね。
    自動運転が実現できれば、タクシードライバーやトラック運転手といった仕事を代替えすることができるようになりますので、タクシー、物流といった、いずれも人手不足で悩んでいる業界においての問題解決になることでしょう。
    次に、無人店舗です。
    無人店舗を実現するためには、まずは支払いを自動化する必要がありますね。
    既にセルフレジが導入されているスーパーやコンビニは珍しくなくなりましたね。また、現金だけでなく、クレジットカードやSuicaなどの電子決済、PayPayやLINEPayなどのQRコードを用いた決済など、支払い方法も様々で自動化を皆さんも実感できているのではないでしょうか?
  • ぼくもよく利用してるよ!
  • 問題は、安全面や盗難などの対処となります。
    例えば、前科を持った強盗が押し入って犯罪が起きることも想定しなければなりません。
    そのため、入り口で顔認証や指紋認証により、問題ないことを確認してから入退出する仕組みや、カメラに映る顔画像から過去の犯罪歴を調べる画像認証などの技術も必要でしょう。
    顔認証や画像分析においては、膨大な顔画像データを保管するビッグデータ、その中から人物を瞬時に特定するAIの機能が求められます。
    また、カゴに入れた商品の一部しか支払いをせず、持って帰るといった万引きにも対応する必要があります。
    ユニクロでは、カゴをレジ横のトレイに置けば、自動的に中の商品を画面に表示して、料金を計算してくれる仕組みがありますよね。
    あれは商品情報を埋め込んだタグを全ての商品に付けておいて、そのタグを瞬時に読み込むというRFIDという技術を用いています。
    また、最新のコンビニでは、手に取った商品が何かを全て画像分析して、出口で自動精算するといった仕組みも開発されています。
    こういった商品を自動判定する機能は万引きなどの犯罪防止に役立てるだけでなく、データ化することによりマーケティングに役立てています。
    地域、年齢層、性別による売れ筋商品の分析、店に置かれている在庫商品の管理を自動化することによって、新商品開発や賞味期限切れによる廃棄量の削減などに役立ちます。
    こういった、商品が販売された時点で「誰が・いつ・どの商品を・いくつ買ったか」をデータとして記録し、集計するシステムをPOS(Point of sales)システムといいます。
    また、食料品などは「いつ、どこで、だれによって作られたのか」も管理する必要があります。
    それを管理することによって、食中毒など健康に影響を与える事故が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ、 どこに売られたかを追跡することができるからです。
    このように、商品の流通経路を生産から最終消費もしくは廃棄まで追跡が可能にする仕組みを英語の「Trace(追跡)」と「Ability(能力)」の2つを組み合わせ、トレーサビリティと言います。
    トレーサビリティを実現するには、販売した商品(物)とインターネットを結びつけるIoTの技術が不可欠なのです。

③将来求められる力

  • 皆さんの多くは情報1の勉強のため、大学入試対策のためにこの動画を見られているかと思います。
    その中で様々な用語解説を行いながら、試験対策に役立ててほしいと思う一方で、このような事実をどのように捉え、皆さんの未来に役立てていくかという観点も持ってほしいと思っています。
    つまり、今回紹介した未来の話も「へぇそうなんだ」で終わるのではなく、自分のこととして捉えてほしいのです。
    Society5.0を支える4つの技術、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットは非常に便利であり、私達の生活を変えてくれるものですから、それらに任せられるところはどんどん任せようという世界になってくるはずです。
    ・自動車の運転は自動化しよう。
    ・コンビニは無人化しよう。
    ・犯罪のチェックや警備はロボットに任せよう。
    野村総合研究所の分析によると、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械によって代替される可能性が高いとしています。
    今後はコンピュータが得意とする単純作業が多い仕事は機械によって代替されていくということです。
    その際に重要なことは、「Society5.0が人の仕事を奪う」と悲観的に考えるのではなく、ITと人間が共生する幸せな世界を目指す、という目標に向かう方法を「みんな」で模索していくことではないかと思います。
    そしてその実現は、共に歩む存在であるSociety5.0について、無知な状態ではままならないでしょう。
    だから、Society5.0に係わる技術や仕組みを勉強し、正しく理解し、何をITに任せて、何を人間が行うのかを考える必要があります。
    人間がITの得意分野の領域で勝負しても敵うはずがありませんから、人間に求められる能力も変化するでしょう。
    つまり、記憶力や正確性、分析力や計算力だけを磨いていっても意味がないということです。
    それよりも、ITには代用できない未来を予測できる柔軟な論理的思考力や、様々な困難に立ち向かう問題解決力、クリエイティブに企画・創造する力や、人間的コミュニケーション力がこれからは求められるでしょう。
    では、皆さんが今、学校で主に勉強しているのはどちらでしょうか?
    正確に漢字や英単語を書き取る練習、数学のパターン練習、語呂合わせのような暗記問題。
    これが皆さんの未来に代用される能力なのか、そうでないのかは一目瞭然です。
    だからこそ、いま君たちが学習すべきことは何なのか?将来のために身につける力は何なのか?を考えて、自分の時間を使わないと、大人になってからきっと後悔します。
  • がんばります!

まとめ

  1. 「Society5.0」は、労働人口がどんどん下がる日本の未来に向けた解決策として日本政府が重要と位置づけている施策のこと。
  2. 「Society5.0」では、これから起こりうる様々な社会問題を、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットの4つの技術で解決していく。
  3. 「Society5.0が人の仕事を奪う」と悲観的に考えるのではなく、ITと人間が共生する幸せな世界を目指す、という目標に向かう方法を「みんな」で模索していくことが大切。