今年もまた、数々のドラマが生まれた甲子園。元高校球児である、なかのりPGが、今年の大会で感じたこと、そして球児たちへの尽きない尊敬の念を、熱く語らせていただきます!
尊敬しかない!球児たちの精神力
今年の甲子園を見て、まずナオミさんと共感したのは、球児たちの「尊敬しかない」というその立ち居振る舞いや礼儀でした。彼らは本当に高校生とは思えないほどの精神力と人間性を持ち合わせている。中でも僕が特に印象に残ったのは、県立岐阜商業の横山温大くん。生まれつき左手の指がないというハンディキャップを抱えながらも、強豪校でレギュラーを掴み、ライトを守る彼の姿には本当に胸を打たれました。通常であれば野球を諦めてしまうような状況で、彼は右手でグローブを素早く抜き、右手で投げるという工夫を凝らし、その動作は驚くほど早い。監督がハンディキャップがあるからと特別扱いするのではなく、純粋な実力でレギュラーとして活躍しているという事実が、彼の努力と才能を物語っています。
変わる甲子園の戦術と進化する高校野球
今年の甲子園は、タイブレークにもつれ込む試合が非常に多かったですね。最初リードされていたチームが追いつき、タイブレークでも決着がつかず、さらに延長戦へ。勝敗をつけなければならないからこそ、一つ一つのプレーに感動が生まれます。特に県立岐阜商業と横浜の戦いは凄まじく、タイブレークの末、劇的な逆転勝利を収めるシーンは鳥肌ものでした。これは、かつてのように一人のエースが全試合を投げ抜くというスタイルから、複数投手を起用するチームが増え、実力が拮抗していることの表れだと感じます。投手力が全体的に向上し、ロースコアの緊迫した試合展開が多くなったのも今年の特色でしょう。
笑顔でプレーする球児たちと監督の想い
僕が高校球児だった頃は、試合中に笑顔を見せると先輩に怒られた時代でした。「歯ー見せてんじゃねー!」なんて言われたものです(笑)。しかし、今の球児たちは本当に楽しそうに野球をしていますね。笑顔でキャッチボールをしたり、プレーしている姿を見ると、野球が心から好きで、この大舞台を楽しんでいることが伝わってきます。後輩が先輩を尊敬し、同じグラウンドで共に戦う姿も素晴らしい。広島の広陵高校のいじめ問題など、一部残念な出来事もありましたが、全体としては僕らの頃に比べて良い方向に進んでいると感じます。
そして、仙台育英の吉川くんと沖縄尚学のピッチャーの投げ合いも印象的でした。両者150球を超える熱投。須江監督が、2人の醸し出す「やり合っている空気感」を邪魔したくないと、あえて代打を出さなかったという采配も、監督の深い愛情と選手への信頼を感じさせます。
野球は技術だけでなく、礼儀や精神力も教えてくれる素晴らしいスポーツです。僕の周りにも野球をしている子どもたちがいますが、彼らは皆、ハキハキとしていて挨拶もしっかりできる。甲子園は、そうした人間的な成長の場でもあるのだと改めて感じました。
皆さんも、地元の高校だけでなく、様々な学校の、様々な球児たちのドラマに目を向けて、ぜひ来年も甲子園の熱い夏を感じてほしいと思います。