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【情報Ⅰ#54】テクノストレス(テクノ依存、不安症)とは?原因や対策について|情報1の授業動画【高校・共通テスト対策】プログラミング

  • 前回は、Society5.0について解説しました。
    「Society5.0」は、労働人口がどんどん下がる日本の未来に向けた解決策として、日本政府が重要と位置づけている施策です。
    また、Society5.0では、これから起こりうる様々な社会問題を、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットの4つの技術で解決していくことです。前回の動画で事例を挙げて説明しましたね。
    本日は、テクノロジーの発展で起こりうる影響のひとつであるテクノストレスについて説明していきます。

①テクノストレスとは

  • 前回のSociety5.0の動画では、ビッグデータやAIが存在する仮想空間と、人間のいる現実空間でスムーズにデータをやりとりして、経済発展と社会問題を解決していこうという話をしました。
    しかし、テクノロジーの進化においては光だけでなく、残念ながら影となる部分も存在するのが事実です。
    今日においては、仕事でも私生活でも、パソコンやスマートフォン、インターネット、ゲーム機など、ほとんどの人がIT機器に囲まれて暮らしています。
    テクノロジーが進化することにより、コンピュータ技術についていけないという不安や、依存度が高まることによるストレスが顕在化し、すでに社会問題になっています。
    このように、コンピュータに触れる人々の間にみられるこれらの病理についてを、アメリカの心理学者であるクレイグ・ブロード氏がテクノストレスと命名しました。
    テクノストレスには相反する2種類の症状があり、「テクノ依存症」と「テクノ不安症」に分かれます。

②テクノ依存症

  • テクノ依存症とは、コンピュータを長時間使い続けた結果、常にコンピュータのことが頭を離れない。他者への思いやりが欠如する。人の反応に対しイライラする。日常生活への切り替えが困難になる。などの症状が出てきます。
    健康への影響といっても、この動画を見ているほとんどの皆さんは、関係ないと思っている方も多いかと思います。
    子どものうちは、免疫力が強いので病気になってもすぐに治りやすいですし、疲れやすくなったり、腰が痛いなどと感じるのはもう少し大人になってからです。
    しかし、君たちが気づいていないだけで、コンピュータ、特にスマートフォンによって、実は甚大な被害を受けている体の部位があります。
    それが「脳」です。
  • 脳って言われてもピンとこないよ。
  • まあ、そうでしょうね。スマホを使っても頭が痛くなったりすることはあまりありません。脳というものは、人間の行動を制御するいわゆる司令塔です。
    脳に影響が出始めたときに、精神科の病院に通うことになります。
    精神科では通常、仕事でストレスを抱えたり、人間関係でうまくいかずに悩んでいる、精神的な病を抱えている人を診療しますが、患者の多くは30代~50代の大人です。
    しかし、スマホが普及してからは、10代の若い人がこのような症状になって、精神科に通う人が急増していることが分かりました。
    皆さんも精神科に通うような状況にはなっていないとしても、知らず知らずのうちにスマートフォンやインターネットに依存しているということがあるかもしれないので、他人事だとは思ってほしくないです。
    特に常にスマホが手放せない、スマホを家に忘れると落ち着かない、SNSやYouTubeを頻繁に閲覧するといった方は要注意です。
  • ドキッ!
  • スマートフォンが脳に与える悪影響を研究してまとめてくれた本、それが世界的なベストセラーとなった「スマホ脳」です。 スマホ脳については、過去の動画で、詳細に分かりやすく要約しています。概要欄にリンクを貼っておきますので、そちらを見て下さい。

③デジタルデバイド

  • 職場の急速なIT化によって、一般のサラリーマンも日常的にPC使用を余儀なくされました。これにより、コンピュータに不慣れなサラリーマンがストレスを抱えるようになりました。
    特に中高年に多く見られ、コンピュータへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、症状が重くなるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもあります。
    このような症状を、テクノ不安症と呼びます。
    また、テクノ不安症によりもたらされるもう一つの社会問題として、デジタルデバイドがあります。
    デジタルデバイドとは「インターネットやコンピューターを使える人と使えない人との間に生じる格差(情報格差)」のことです。 SNSや様々なITツールを日常的に使いこなしている人が多くなる一方で、テクノ不安症となり、デジタルデバイスを活用できず、デジタル化の流れに取り残されている情報的な弱者も生まれています。
    そのような中で、デジタル化が拡大し、情報を適切に入手できる層と、入手できない層の格差が広がり、「デジタルデバイド」が問題視されるようになりました。
    デジタルデバイドが顕著に現れるのが、企業や職場などです。年齢や経験の違いによって、ITに対する知識の量にも差が生じ、セキュリティ面でのトラブルや、IT機器の取り扱いができないなど業務に支障が出ています。
    また、デジタルデバイドは、企業だけでなく、国家間においても生じています。
    先進国と発展途上国では、インターネット環境などのインフラ整備や国家予算の違いに加え、IT教育の差にも違いがあるため、デジタルデバイドが生じることも想像できるかと思います。
  • たしかに・・・
  • デジタルデバイドは、ただ情報格差が広がるだけでなく、さまざまな問題を引き起こすことが問題視されるようになりました。 同じ企業内においても、ITリテラシーの乏しい人材が孤立化し、所得格差が拡大します。
    また、企業のIT化に遅れが生じたり、最悪の場合、ITリテラシーに乏しい人がセキュリティリスクを引き起こし、個人情報の漏洩、企業が保有する機密情報の流失、悪質なマルウェアの感染といった被害を受けるといったこともあります。
    皆さんもこれまで情報1の勉強をしてきましたが、企業や国が持続的な成長を遂げるためには、ITテクノロジーの進化に抗うことができません。
    そのため、デジタルデバイドの解決は、企業においても国においても急務の課題と言えるでしょう。
    その中で重要視されているのが、高齢者でも利用しやすいITツールの開発や、幼少期からのIT教育となります。
    このルークススクールもその一翼を担えるよう、これからも日本一分かりやすくIT用語を説明していきますよ。

まとめ

  1. テクノロジーが進化することにより、コンピュータ技術についていけないという不安や、依存度が高まることによるストレスが顕在化する症状を「テクノストレス」という。
  2. コンピュータを長時間使い続けることで、依存状態になる症状を「テクノ依存症」と呼び、スマートフォンが普及した現代では、10代にも多く見られる症状となっている。
  3. コンピュータへの苦手意識から陥る症状を「テクノ不安症」と呼び、そこからITを使える人と使えない人との間に生じる格差である「デジタルデバイド」が生じている。