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【情報Ⅰ#50】プライバシーの権利や保護とは?|情報1の授業動画【高校・共通テスト対策】プログラミング

  • 前回は個人情報流出について解説しました。
    個人情報が流出することにより、流出された人たちは様々な被害を受けることとなりますが、流出させた企業はさらに大きな損害が出ることとなり、その規模も莫大だという話をしました。
    また、個人情報流出の原因や対策、そして情報が持つ価値についてもお話しましたね。
    本日は、個人情報に深く関係するプライバシーについてお話していきます。

①個人情報とプライバシーの違い

  • 普段の生活では、「個人情報」と「プライバシー」という言葉はあまり区別することなく使われています。この2つの言葉は深く関係していますが、厳密に言えば意味が異なります。
    これまで学んできた通り、「個人情報」とは、氏名、生年月日、住所など、特定の個人を識別できる情報のことです。
    一方、「プライバシー」とは個人は特定できないものの、むやみに他人に知られたくない私生活上の個人的な情報のことを指します。
    具体的に言うと、自分の好きなもの、趣味嗜好、交友関係などと言えば分かりやすいでしょうか?
    両者の違いを「手紙」を例に例えると、封筒に書く住所や宛名などは「個人情報」に該当し、中身の文章は「プライバシー」に該当します。
  • うん、わかりやすい!
  • また、個人情報は「この情報は個人情報」、「この情報は個人情報ではない」といった識別をすることができますが、プライバシーは「これがプライバシー」と対象を特定することができません。
  • ん?どういうこと?
  • 例えば、自分の好きなサッカーチームがあり、そこに応援に行ったときの写真を自らのSNSにアップしている人がいます。一方で、そのサッカーチームを影で応援していて、応援していることを他人にはあまり知られたく無いという人も当然います。 つまり、その情報がその人にとってプライバシーに該当するかどうかは、その人の主観によるという特徴もあるということです。

②肖像権

  • 肖像権とは、自分の顔や容姿を本人に断りなく「撮影」や「公表」などをされないための権利です。
    肖像権は、プライバシー権とパブリシティ権の2つで構成されています。
    プライバシー権は、誰にでも認められている人格的な権利なので人格権とも呼ばれます。一方でパブリシティ権は、有名人に認められている財産的な権利となるため、財産権とも呼ばれます。
    まず、プライバシー権についてです。よくあるのが、友達と一緒に遊びに行った時に、2人で撮影した写真をSNSにアップする場合です。
    この場合、自分は遊びに行ったことや場所を他人に知られても良いと思う一方で、一緒に写真に写っている友達はそういったことを他人に知られたくないと思うかもしれません。
    そのような場合には、プライバシー権を侵害しているということになります。
    なので、自分以外の人が写っている写真をSNSやブログなど、不特定多数の人が見るメディアに掲載する場合には、必ず事前に許可を取ってから行うようにしましょう。
    また、一緒に写っているのは良いとしても、場所は知られたくないという人もいます。
    例えば、東京スカイツリーや雷門など場所を特定できるような建造物や風景が写っている写真も、インターネットに公開するときには配慮する必要があります。
    また、そういった場所を特定できるものが写っていないときにも、スマホで撮った写真や動画にはジオタグが付加されていることが多いので注意する必要があります。
  • ジオタグ?
  • GPSは知っていますか?「Global Positioning System」の略で、簡単に言うと、今いる自分の位置情報を緯度経度の数字にしたものです。
    スマホの場合、このGPS機能が付いていて、GPS機能により、地図アプリで今いる自分の場所が分かったり、近くのお店などを調べたりすることが可能となります。
    スマホで撮影した動画や写真には、撮影した場所のGPS情報が属性情報として付加されます。それをジオタグと呼ぶのです。
    iPhoneのカメラロールで撮影地ごとに写真を表示できる機能がありますが、あれはジオタグが埋め込まれているから実現できる機能なのです。
  • なるほどね。
  • 幸い、Facebook、Twitter、LINE、インスタグラムなど主要なSNSでは、位置情報が含まれたままの写真を投稿してもジオタグは自動的に削除されるようになっています。
    しかし、メールで写真を添付したり、USBに画像をまとめて他人に渡すときなどは、ジオタグが残りますので注意しましょう。
    次に、パブリシティ権ですが、こちらはプライバシー権とは異なり、有名人に認められている権利となります。
    テレビなどに出演している有名人はブランド力があるため、宣伝効果が高くなります。
    そのため、CMなどでその有名人を起用する場合には、出演料を支払う必要があるのです。
    このように、有名人が持つ経済的な利益や価値を財産と考え、その財産を利用する権利のことをパブリシティ権と呼びます。
    例えば、偶然見かけたアイドルの写真を撮り、それをプロマイドやポスターとして販売する行為などはパブリシティ権の侵害に該当します。
  • ぼくも気をつけないと!

③情報モラル

  • モラルという言葉がありますね。一般的にはマナーやルールと同じように捉えていますが、辞書で調べると「人や生き物に対する思いやりを持った言動や、良心に従った善良な行動を起こすために守るべき基準」という意味です。
    ITの世界にもモラルがあり、それを情報モラルと呼んでいます。
    IT技術の進歩は年々目覚ましい進化を遂げており、その秩序を保つための法整備が追いついていないというのが現状です。 そういった中で、情報モラルの意識は非常に重要となるでしょう。
    先程の写真の例で言えば、SNSにアップされることが嫌であっても友達だから仕方ないと我慢することの方が多く、裁判までしてプライバシー権を主張するというのは超レアケースと言えるでしょう。
    しかし、自分は全く気にしていなかったり、問題ないと思ったりしても、友達は良く思わないかもしれないといった気遣いの意識が必要となります。
    他にも、SNSでの書き込みで、誹謗中傷までは至らなくとも、お店や商品の悪口を載せることで傷つく人もいるはずです。
    LINEなどのメッセージ送信においても、夜中の10時過ぎに送ったり、テスト勉強で忙しい前日に送ったりということもあまり良くはありません。
    歩きながらスマホを使う「ながらスマホ」も、周囲に注意が向かず、誰かとぶつかったり、自分自身が大怪我をしたりすることもあります。
    最悪な状況に陥るパターンとしては、バイト先などで、悪ふざけをして食品を粗末にしたり、不衛生な動画を公開したりすることで、億単位の賠償請求をされるなど、その後の人生において様々な不利益を受けてしまった人もいます。
  • たまにニュースで見るよね・・・
  • 犯罪になる・ならないの問題ではなく、他の人に配慮すべき行動が、ITの世界では特に求められます。
    インターネット上の情報は高速で拡散しやすく、一度流れた情報は簡単には消えないという特徴がありますよね。
    このため、誤った情報が瞬時に広まってしまい、訂正や削除の指示も届かず、社会問題を起こすことがあります。
    さらに、望ましくない情報が永久に残る可能性もありますので、インターネットの特徴を踏まえた情報モラルを身につけなければならない。ということも理解してください。

まとめ

  1. 「プライバシー」とは、個人は特定できないものの、むやみに他人に知られたくない私生活上の個人的な情報のことを言う。
  2. 肖像権は、プライバシー権とパブリシティ権の2つで構成されていて、プライバシー権は誰にでも認められている人格的な権利なので、人格権とも呼ばれる。一方でパブリシティ権は、有名人に認められている財産的な権利となるため、財産権とも呼ばれる。
  3. 情報モラルと言う言葉があるように、法や権利で問題ないことであったとしても、他の人が嫌がるような行動は慎むようにしよう。