とうほくプロコン2022 最終エントリー作品講評③

今回は、とうほくプロコンの最終エントリーに残った7人の子どもの作品のうち「中学生部門 最優秀賞 東北クイズダンジョン」「テーマ部門 最優秀賞 洗濯物乾いたかなマシーン」に関する総評をお伝えします。(個人名は避けて作品名でお伝えします。)

【中学生部門 最優秀賞】東北クイズダンジョン

まずは「東北クイズダンジョン」です。
これは、RPGのように、モンスターを倒していくゲームです。
普通は、敵に出会ったときに「戦う」「呪文」「逃げる」など、コマンドを選びますよね。
でも、これは、クイズに正解したら敵にダメージを与え、不正解だったら自分がダメージを受けるというものです。
クイズとRPGを組み合わせたところがアイディアとして良かったと思います。

また、この子のプレゼンは、今回のプレゼンの中で一番感動しました。
まず、学校のクラスメイト全員に「あなたが思い浮かぶ東北の名産は何ですか」というアンケートをとったそうです。
1位牛タン、2位ずんだ餅、3位伊達政宗、それで約9割くらいだったでそうです。
ほとんど宮城県の特産なんです。
ただ、その子が聞いたのは「東北の名産」です。
「宮城県以外にもたくさんの名産があるんだから、それをもっと知ってほしい」ということで、それをクイズにしたそうです。
宮城県に住みながらも、宮城県以外の東北のことも気遣ってあげるすごく優しい子だで、素晴らしいと思い、感動しました。
それが審査員にも伝わり、最優秀賞がとれたんだと思います。

次回は、英語版もつくりたいということです。
ぜひ多言語化して、この素晴らしい作品を世界中に広めてほしいと思います。
名産や観光地が見られる地図を用意したり、SNSで拡散できたり、そのようなインバウンドを盛り上げられるアプリに仕上げていってほしいと、僕は思っています。
最優秀賞、本当におめでとうございます。
もっと伸ばして、来年もチャレンジしてほしいと思います。

【テーマ部門 最優秀賞】洗濯物乾いたかなマシーン

次に「洗濯物乾いたかなマシーン」です。これは「忘れもののない世界にしよう」というテーマ部門で最優秀賞をとった作品です。
今回、唯一の電子工作作品です。これは、水分を計るセンサーがあり、そのセンサーで、洗濯物の乾き具合を判定して、洗濯物が乾いたときにお知らせをしてくれるという作品でした。

歴代のプロコンも今回のプロコンも、すべてソフトウェアでできたものです。
今回、IoT・AI講座が加わったということもあり、電子工作の分野でも誰か出てほしいなと思っていたところ、それに賛同してくれた唯一の子でした。
電子工作で出場し、いきなり最優秀賞がとれました。

最初に作品をつくるときに「お父さん、お母さんに、普段、困っていることを聞いてごらん。それを聞いて、どうやって電子工作で解決できるか、考えてごらん」と言いました。
次の授業で考えてきたのが、この作品でした。
「お母さんが洗濯物を取り込み忘れて、夕方に取り込もうとしたら、寒さで冷たいのか、乾いていなくて冷たいのかが分からなかった。
だから、センサーを使って、乾き具合を数値化して、乾いたかどうかを判定するものが必要だ」と考え、それを見事に具現化しました。
コンセプト、作品、プログラミング力、すべてが素晴らしいということで、今回、審査員が、唯一、満場一致で最優秀賞に選んだ作品でした。

プログラミング力に加え、お母さんを思いやるという思いやりの気持ち、優しい気持ちを持った子です。
それが融合してできた作品だと思います。
何より実用性が高いんです。
皆さんも欲しいと思いませんか?
この子の作品を見て、なぜ製品化されないんだろうと思いました。
実用性も高いので、もっと使いやすくして、製品化を本気で目指してほしいなと思います。
最優秀賞、おめでとうございます。
バージョンアップして、次回も二連覇を目指してほしいと思います。

まとめ

最終エントリーに残らなくても、すごい作品をつくった子はたくさんいます。
中には、最終エントリーに残った子以上にプログラミング力が高い子も何人もいます。
でも、なぜ残らなかったかというと、プログラミング力だけを見ているわけではないからです。
発想力や着眼点など、そのような部分も見ています。最初に出たときには入選にかすりもしなかった子が、翌年に最優秀賞をとって全国に行ったという子もいます。
今回、最終エントリーに残らなかった子も、そのような部分を鍛えて、来年もリベンジして、最優秀賞を目指してほしいと思います。
ぜひ諦めずに頑張りましょう。