【情報Ⅰ#90】通信の進化とは?メディアの進化と歴史|情報1の授業動画【高校・共通テスト対策】通信ネットワーク・モールス信号

  • 前回までは、「情報のデジタル表現」というカテゴリで、デジタル表現についてやアナログからデジタルに変換する手法などについてお話をしてきました。 今回からの数話は、「コミュニケーション手段の発展と特徴」について、詳しく解説していきます。 まずは、現代のコミュニケーションの手段として欠かせない「通信」について、その歴史や進化を深堀りしてお話ししていきますよ。

①通信とは

  • 現代は、情報化社会と呼ばれています。 情報化社会は、コンピュータや携帯電話などのテクノロジーの進化に伴い、膨大な情報を主体とする新しい社会のことを指しています。 しかしながら、情報は今になってできたわけでなく、大昔から存在していました。 例えば、原始時代においても「あそこでマンモスの群れを発見した」「あの森の木の実は美味しい」といった、生き延びるために必要な情報がありました。 そういった貴重な情報を人同士で伝達することを「通信コミュニケーション」と言い、通常は略して「通信」と呼んでいます。 通信と言うと、現代ではインターネットやSNSを思い浮かべる方が多いと思いますが、コンピュータが無い時代はどのようにして通信を行ってきたのかを、は説明していきたいと思います。

②通信の進化に欠かせないもの

  • ここで一つ、通信において欠かせないものがありますね。以前の動画でも紹介しましたが、通信を行う方法や媒体のことを何と言いますか?
  • 諜報活動
  • ぐらみん君、「SPY×FAMILY」の見すぎです。 通信を行う方法や媒体を「メディア」と言いました。これは以前のIT領域展開でも説明していますので、復習してください。 通信の進化には、必ずメディアの進化も追随しますので、メディアの進化とともに通信がどのように進化してきたのかを、歴史を追って説明していきます。
    昔は、情報を伝えるときには、直接会って声で伝えていました。 遠く離れた人へ情報を伝える役割の人を、使者と呼びます。
  • キングダムに出てくるよね?
  • そうですね。漫画のキングダムが好きな人は知っていると思いますが、馬に乗って戦況を報告する使者がよく登場しています。 あれも情報を伝える手段なので、メディアなのです。 また、馬よりも早く伝えたい緊急を要する情報の場合には、狼煙や伝書鳩なども使われていました。 狼煙や伝書鳩もメディアとなるのです。 キングダムは紀元前の話ですから、2000年以上も前から情報が重宝され、手段は今と違えど、「伝える手段」が確立していたということなのです。
  • なるほどね。
  • そして時代が進み、18世紀には本格的な通信システムとして、腕木通信という仕組みが開発されました。 簡単に言うと、大きな手旗信号のようなものです。腕木と呼ばれる数メートルの3本の棒を組み合わせた構造物(セマホール)をロープ操作で動かし、その動き方から、何の文字を表しているか読み取ることができます。 それを望遠鏡で確認した人は、同じように腕木を動かすことで、バケツリレー式に情報を伝達していくという仕組みでした。
    次に、19世紀になると、アメリカでモールス信号による通信が普及します。 モールス信号の仕組みについては、前回、詳細に説明したので省略しますね。 モールス信号は電鍵を使って行われた、電気による初めての通信となり、それをきっかけに電気を使った様々な通信技術が発明されていきます。 モールス電信機の発明とほぼ同じ時期に、電線を使って音声を送る研究が始まりました。
    そして、1876年にグラハム・ベルが実用的な電話機を発明したことにより、電話での通信ができるようになったのです。 この頃は、電線をつないだ電話同士で会話するという方法でしたが、そこから間もない1895年に、イタリアのマルコーニによって、電線を使わず電波により信号を送信する無線通信の技術が発明されました。 その結果、1914年に、なんと日本において、世界で初めて今の携帯電話の元祖とも言える「無線電話」が実用化されたのです。
    そこから1979年に、NTTの前身となる日本電信電話公社が、世界に先駆けて自動車電話サービスを開始したことで、その頃は値段が高く簡単には手に入らなかったものの、我々一般人にも携帯電話が徐々に使われるようになってきました。
    そして1990年代後半には、安くて手軽に携帯電話が持てるようになり、今で言うガラケーが爆発的に普及しました。
  • なるほどね。

③コンピュータを使った通信

  • また、20世紀の中頃には、コンピュータを使った通信も行われるようになってきました。 最初は、コンピュータ1台1台が単独で動いていましたが、コンピュータ同士を繋いで情報をやりとりできるようにしようということで、1969年にアメリカでコンピュータによる通信の実験を行いました。 この実験は、ARPANET(アーパネット)と呼ばれ、やがてそのネットワークがアメリカ全土に広がり、インターネットと呼ばれるようになりました。 その頃は大学や研究施設間での通信に使われていましたが、1991年に一般用にネットワークが開放されたことで、インターネットは急速に普及しました。 インターネットの普及により、誰でも簡単に世界に向けて情報を発信できるようになった結果、情報量が膨大になり、また、こうした情報を誰でも利用できるようになったというわけです。 そして、携帯電話回線のデジタル化が進むことで、音声以外の電子メールなどの情報サービスが携帯電話でできるようになりました。
    それが進化し、2009年にはスマートフォン等の多機能携帯電話が普及し、今では音声だけでなく、メッセージや音楽、位置情報、ショッピングや支払いなど多種多様なサービスを受けられ、SNSや動画等で情報をいつでもどこでも収集したり、発信できるようになりました。 このように、メディアの進化により、情報がより便利に、より速くやりとりできるように発展してきたのです。 また、インターネットの普及により、コンピュータやスマートフォンを使って、様々な種類の情報をやりとりできるようになりました。 さらには、情報を受け取るだけでなく、誰もが世界中に情報を発信できるサービスが広がってきていることがお分かりいただけるかと思います。
    今回は、情報の送り手と受け手が主に1対1の通信手段の進化を説明してきましたが、次回は、一度に多くの人に情報を送る1対多の通信、マスコミュニケーションについてお話していきます。

まとめ

  1. 貴重な情報を人同士で伝達することを「通信コミュニケーション」と言う。
  2. メディアの進化とともに、通信はより便利に、より速くやりとりできるように発展してきた。
  3. 通信にコンピュータが使われるようになり、様々な種類の情報をやりとりできるようになっただけでなく、誰もが世界中に情報を発信できるサービスが広がってきている。