【情報Ⅰ#38】知的財産権とは?覚え方をわかりやすく解説|高校授業_情報1・共通テスト対策【用語解説・授業動画】

  • 前回まで情報セキュリティポリシーに関するお話をしてきました。
    本日からは、情報を法的に守る知的財産権について、お話をしていきます。
    えっ法律?なんか難しそうだし、つまらなさそう。
    確かにそうかもしれませんが、法律においては「知らなかった」では済まされないことも多いです。
    それに皆さんも普段、何気なくやっていることが知的財産権を侵害していることもありますので、この機会にしっかりと学んでください。

①知的財産権とは

  • まず、財産といえば何を思い出しますか?
  • うーん。
    高そうな壺とか、隠し別荘とか、埋蔵金とか?
  • 普通に、骨董品や土地・建物、お金で良いと思いますが、まぁいいでしょう。
    そういった個人や団体が所有している価値のあるものを財産と言います。
    一方で、人間の知的活動によって生まれた創造物やアイデアも価値を持ちますよね。
    そのような財産を知的財産と言います。
    知的財産と聞いて、私が真っ先に思い出すのは、ノーベル賞を取った吉野彰さんが発明したリチウムイオン電池です。
    リチウムイオン電池は急速充電が可能で、しかも軽いといった特徴があります。
    私達が普段、小さくて軽いスマートフォンを利用できるのは、このリチウムイオン電池があるからです。
    このリチウムイオン電池を安全に利用できるように商品化したわけですが、この発明にいたるまでに9年もの歳月がかかっています。
    この発明は、吉野さんをはじめとする多くの人達の知識と努力の結晶、つまり財産です。
    そして、努力の結果で、このリチウムイオン電池を作った旭化成に利益が生まれるわけです。
    しかし、このような技術やアイデアは容易に真似されてしまうという側面があり、真似されることで、その価値を失ってしまうという性質も持ち合わせています。
    特に、最近では写真、音楽、動画などは、情報技術の発展によって、複製や拡散が容易にできるようになりましたよね。
    インターネットやスマートフォンなどの情報技術を利用して、作品を簡単に複製し、全世界に配布し、多くの人々の間で共有することができます。
    典型的なのが、漫画村というサイトです。
  • 僕も知ってる!
  • 漫画村は、出版社や作家の許諾を得ずに漫画を無料で公開するサイトでした。
    そのような無料公開サイトが横行すると、週刊誌やコミックが買われなくなります。
    漫画村の影響で、出版社や漫画家たちは大きな被害を受け、その被害額は3,200億円にものぼったそうです。
    このように、創作物を勝手に複製や配布をされてしまうと、大きな損害となります。
    さまざまな知的財産を生み出した人を守るための権利を知的財産権と言います。

②知的財産権の分類

  • 知的財産権は大きく2つに分類されます。
    1つが産業財産権で、もう1つが著作権です。
  • うーん。ちょっと難しくなってきた。
  • 漢字は難しいですが、それを日本一分かりやすく説明するのがルークススクールですから、しっかりと学んでくださいね。
    まず、産業財産権です。
    産業や経済に関する新しい発明や独創的なデザイン、固有の商品名などの権利を産業財産権と言い、特許権、実用新案権、意匠権、商標権に分けられます。
  • また、いろいろ出てきた・・・
  • はい。
    この産業財産権については、次回、詳しく説明しますので、ここではざっくりと押さえてください。
    皆さんがこの中で一番馴染みのあるのは、特許権でしょうか?
    よくテレビドラマなどでも出てきますよね?
  • うん、そうだね。
  • ちなみに、私が一番好きなドラマは、下町ロケットです。
    ドラマ自体も面白いのですが、知的財産権を学ぶのにうってつけのドラマですので、是非皆さんも動画配信サイトやDVDレンタルを利用して見てほしいと思います。ここでは簡単にあらすじをお伝えしますね。
    下町ロケットでは、下町の中小企業である佃製作所(つくだせいさくしょ)が舞台となります。
    佃製作所では、水素エンジンのバルブシステムに関する特許権を持っていました。
    このバルブシステムはロケットの打ち上げの成功率に直結するくらい重要な部品です。
    大型ロケットの製造開発をしている大企業の帝国重工がこのバルブシステムを使う使用許諾を得るため、中小企業の佃製作所に年間5億円を提示しました。
    このように、特許権を持つことで、大企業であっても、その技術やアイデアを勝手に使用することは許されず、独占的に使用する権利を持つことができるのが産業財産権の特徴です。
  • 僕もレンタルして見てみます!
  • 次に、著作権です。
    小説、音楽、絵画、映画、写真、コンピュータプログラムのように思想や感情を創作的に表現したものを著作物といいます。
    そして、その著作物を創作した人には著作権が与えられます。
    著作権の特徴としては、作品の出来栄えや、年齢、プロ・アマチュア関係なく、それを著作した人全員に与えられるということです。
    つまり、美術館に飾られるような美しい絵画だけでなく、幼稚園生が描いた絵もどちらも著作権を持つということになります。
    著作権は、著作物を作成した時点で2つの権利を持ちます。
    1つは著作者の人格的利益を保護する著作者人格権で、もう1つは財産的権利を保護する財産権です。
    さらに、そこから細かく分類されていきますが、著作権についても、次回以降の動画で詳しくお伝えしますので、ここではざっくりと押さえてください。

③産業財産権と著作権の違い

  • さて、ここでは、産業財産権と著作権の違いを押さえてください。
    こういったときには、マトリクス表でまとめるとシンプルですし、分かりやすいですよね。
    まず、違いの1つは登録の必要性です。
    産業財産権は、登録しなければ権利が発生しません。
    これに対して著作権は、権利を得るための手続きを何ら必要としません。
    つまり、著作物を創作した時点で自動的に権利が発生します。
    産業財産権のように、登録して初めて権利が認められる制度を方式主義といい、著作権のように登録しなくても権利が認められる制度を無方式主義と言います。
    また、もう1つの違いは、権利の保護期間です。
    産業財産権は登録や出願から、10~25年と短いですが、著作権の場合、著作者の死後70年まで保護されます。
  • なるほどね。
    なんとなく分かってきた。
  • 皆さんも聞くだけでなく、ノートにまとめてみることで、より理解が深まります。
    ノートのまとめ方は、過去の動画「図表整理」で説明していますので、参考にしてください。

まとめ

  1. 人間の知的活動によって生まれた創造物やアイデア等の財産を知的財産と言い、それを守る権利のことを知的財産権と言う。
  2. 知的財産権は主に産業財産権と著作権に分かれる。
  3. 情報セキュリティポリシーの基本方針においては、社長などの経営トップが率先して作成することが重要。
  4. 産業財産権と著作権の違いとしては、登録の必要性や権利の保護期間がある。