【情報Ⅰ#12】プロバイダ責任制限法、法改正でどう変わる?解説動画|高校授業_情報1・大学入学共通テスト【用語解説・プログラミング】

今回のIT用語は「プロバイダ責任制限法」です。
以前説明をした「誹謗中傷」と繋がる部分もあるので、そちらを復習してから学んでいきましょう。

プロバイダとは

Twitterで誹謗中傷をする場合、まずはインターネットに接続をします。
インターネットに接続するための参加チケットのようなものを「IPアドレス」と言います。
IPアドレスは、0から255までの4つの数字で成り立っている固有の番号です。
これを貸している業者が、docomoやauなどのキャリアです。

docomoはたくさんのIPアドレスを持っていて、我々はそのIPアドレスを借りることにより、いつでもインターネットを利用できるんです。
この場合、docomoが「プロバイダ」になります。
つまり、インターネット利用者にIPアドレスを貸し出す事業者を「インターネットサービスプロバイダ(ISP)」と言います。

プロバイダ責任制限法とは

Twitterで投稿をすると、docomoにも「いつ、どのIPアドレスが、このような投稿をした」というログが残ります。
Twitterに投稿をしたIPアドレスとdocomoのログを照らし合わせることで投稿者を特定できます。
誹謗中傷を書かれた人は、Twitter社に対して「誰が誹謗中傷の投稿をしたのか」という開示請求と、「投稿を消してもらう」削除要請ができます。

docomoに対しては「いつ、このIPアドレスで、このような投稿があった。個人情報を教えてくれ」という開示請求をすることができます。
このようなことをまとめた法律が「プロバイダ責任制限法」です。

泣き寝入りする理由

しかし、この法律で訴える人はあまりいません。
なぜかというと非常に面倒くさいからです。

例:誹謗中傷を受けたAさん

Aさんは裁判所に開示申立をする
→裁判所はTwitter社に対して開示命令をする
→Twitter社は投稿者のIPアドレスを教えてくれる
→再びAさんは裁判所に開示申立をする
→裁判所はdocomoに開示命令をする
→裁判所は投稿者の氏名や住所を教えてくれる
→損害請求をする

少なくとも3回は裁判所に申立や請求をしなければいけません。
さらには弁護士費用などもかかるため、だいたいの人は泣き寝入りしてしまいます。

2022年からの法改正では

2022年の法改正により……

Aさんは裁判所に開示申立をする
→裁判所はdocomoとTwitter社に開示命令をする

手続きが簡略化され、1回の申立で投稿者の氏名と住所が分かるので、2回の申立と請求で済むことになります。
このときには「いつ、どのような投稿をされた」という証拠が必要になるため、スマホでスクリーンショットを撮っておくことが良いでしょう。